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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年08月08日 (Sat)

 その3。傾向:秘書×偽坊ちゃん / 隔たれた襖 / 畳

【問題】
 畳を使ってお話を考えて下さい

拍手[1回]




 助けを求めるように伸ばされた腕が、畳を滑る。
 僅かに引っ掛かった畳の縁(へり)に爪を立て、背後の男からずり上がろうとする。
 数十センチのところにある襖に、指先を少年は必死に伸ばしていた。
 しかし、無駄なあがきとばかりに、腰を掴んだ男は自分の方へ華奢な身体を引きずり倒した。

「むーだ。向こうにいるのは、お前の味方じゃねぇから、助けてくれねーよ」

 唇を噛み締め、閉じた襖を濡れた眼で見上げる姿は、憐憫を誘う。
 しかし男は、無情に背中に乗り上げ、薄い肩を押さえつけた。

「恨むなら、お前の顔恨めよ」

 ――あの坊ちゃんに似ているのが、運の尽きだ。

 声に出さずに、服を剥ぎ取りながら男は呟いた。
 主によく似た面差しが、主にはない表情で自分を見つめる。
 それは嗜虐心と、庇護欲を同時に男に駆り立てた。

「……向こうも、今頃ヤキモキしてるんだろうけどな」

 声を殺して震える背中を抱え、男はやや憐れむように襖を見つめ、言葉を落とした。


 ***


 襖の向こう側から漏れ聞こえる啜り泣きに、握り締めた拳を一度畳に叩きつけた。
 正座のまま、男は襖を睨みつけ、奥歯を噛み締める。
 気を抜くと、襖を開け中に飛び込んでしまいそうな衝動を、必死に制御する。
 叩きつけた拳を解き、指先で畳を無意識に男は掻いた。
 爪に食い込む草が、柔らかい肉を刺す。
 それは、まるで自分の心を刺すような痛みを誘発した。

 自分には、彼を助けることも、心痛を感じる資格もない。
 こうして場を設け、彼を放り込んだのが、自分なのだから。
 しかしながら、今あの少年を抱いている男に対し、激しい殺意が沸いて来る。
 助けを求める、弱々しい声が耳にこびりつく。

 恨んでいるだろう少年の顔を思い、男は顔を伏せた。
 彼は、主ではない。
 主に似た、身代わりなのだ。
 似ているから、惑わされているだけだ。
 似ていないから、惑わされる。
 主ではないから、使用人達の鬱憤晴らしの慰みものに出来る。
 当然の扱いなのだ、これは。
 そう言い聞かせなければ、あの少年を掠ってしまいたくなる。



 畳が傷むほど指先に力を込め、男はただ、行為が終わるのを耐え続けた。




 …………………………………………

 畳、と聞いて真っ先に思い描いたのが「爪で掻きむしる畳」だった、変態です。
 しかも、隣り合わせの部屋での、焦らしプレイ。
 葛藤と、苦悩と。
 救われる展開に今後、なっていけばいいなぁと思っています。
 

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