オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
限りなく、他人に近い身内。
俺達のスタンスは、ずっとそうだった。
それは期限つきの、我慢大会だと思ってた。
あと数日で、解消される我慢大会。
***
「は~ぴば~すで~、駿くーん」
40近いオッサンが、茶髪でロン毛ってのが、どうかと思うが。
ついでに、ピンクのフリフリエプロンもどうかと思う。
手作りケーキに、きっちり18本のローソク立て、鼻歌うたう隆文に、俺は多分神妙な顔してたんだろう。
「駿君、嬉しくない?」
「別に。つーか、今更そんなガキ臭いケーキで祝う歳じゃねーじゃん」
「祝い事は、派手に楽しく!」
「……あー、あんたの解放記念日だもんな」
一瞬鼻歌が止まり、滅多に見せないマジ顔で隆文が振り返った。
「成程ね。お前が最近、ナーバスだった理由ってそれか」
「は? 別になんも」
「嘘つけよ。カレンダー見て溜息つくわ、無駄に部屋掃除頑張るわ。あぁ、なんだなんだ」
何言ってんだ、この親父。
誰よりもお前が待ってたんだろーが、俺が18になるのを。
18になって、高校を卒業するまでが、あんたの保護者としての義務だから。
俺さえ、18になれば、お互い縛られる必要はなくなるんだろが。
前から自分で、そう言ってたじゃねーか。
早く、大きくなれって。
「駿君ねぇ、オトーさんを舐めたらいかんぜよ」
「誰がオトーさんだよ」
「お・れ。何年一緒に、生活してきたと思ってんの」
テーブルに腰掛けて、俺の頭を撫でる隆文の眼は、ガキの頃見たそれと変わらない眼。
いつものように派手に着飾って出勤したきり、帰ってこなくなった麻子。
腹空かして、死にかけてた俺を6日目に発見した隆文は、泣きながら俺を抱きしめた。
その日から、俺達は同居人で、家族になった。
それから、10年だ。
「……お前こそ、スゲーうかれまくってたじゃん」
「そりゃ駿が、ここまで育てば俺嬉しいでしょ。あんなにチビでガリガリだったのが、大きくなったなーって」
あの日みたいに、抱きしめられる。
ただ、もう隆文の腕にはすっぽり俺は収まらない。
「おめでと、18歳。でも駿は、この先もずっと俺の、可愛くて生意気な息子だ」
「……なんで」
声が、掠れる。
まっすぐに、隆文を見ていられなくて、俺は少し俯いた。
「俺が手放したくないから」
簡潔な理由で、返って来た言葉。
そして、思いっきり隆文に抱きしめられた。
「それじゃ隆文は、自由になれない」
「お前と引き換えの自由なんて、監獄みたいなもんだ」
本来、解放記念日になるはずだった俺の誕生日は。
契約内容を変更しての、更新延長日になった。
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■キャバレーオーナー(39)×生意気高校生(18)なイメージです。
一気に設定が駆け巡ったんですが、私は疑似親子ネタが好きなんです。
近親相姦のように、肉体関係に走らないで、でも他人同士が家族のように繋がる関係。
隆文は息子にメロメロです(笑)
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。