オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
電灯が反射する、眼鏡のレンズ。
冷たく見える双眸を細めて、僕を見下ろし、あの人は溜息をついた。
「まったく、いつになれば倫様の代わりが務まるようになるんだ?」
吐き出された声も、凍えるように冷たく、僕をますます縮こませる。
僕は、このお屋敷に住む『倫様』の影武者…身代わりとして連れて来られた。
敵対する組織に、命を狙われている倫様は、近々秘密裏に海外留学に出る。
僕は、その間の身代わりだ。
「貴方は倫様です、私の不手際をもっと厳しく詰って下さい」
眼の前には、割れたグラスが床に散らばっている。
状況としては、倫様お気に入りのグラスを割った場合、動揺せずにこの秘書の加山さんを注意する練習…なんだけれど。
「ご命令を、倫様」
「は、早く片付けろ!」
「道具がありませんので、手で失礼してよろしいですか?」
白い手袋を脱いで、加山さんはひざまづき、割れたグラスを掌に拾い集め出した。
鋭い破片を摘みあげた時、綺麗に整った指先に朱い筋が一線走った。
「加山さんっ」
思わず駆け寄った僕は、血が滲み出る指先を迷わず唇に沿えて含んだ。
舌の先でそっと、鉄の味のする血を舐め取る。
「……始末が悪いな」
「え?」
見上げた先で、加山さんが眉を寄せて苦い表情を浮かべていた。
僕の口から指を引き抜くと、わざとらしく大袈裟な溜息をつく。
「ご、ごめんなさいっ! でも、怪我は早めに手当しなきゃって」
「倫様としては、不合格だ。……だが、個人的には感謝する」
複雑な表情で、僕の頭を撫でると加山さんは一瞬だけ優しい笑顔をみせた。
こんなに、綺麗な人の指を舐めちゃったのか…僕。
猛烈に恥ずかしさが襲って来て、僕はワタワタと数歩後ずさった。
――そう、下がグラスだらけなのも忘れて。
「危なっかしい」
さっと腕を引かれ、傾きかけた身体が加山さんの傍に倒れ込んだ。
「貴方には、傷一つ付けるわけにはいかないんだ。気をつけて」
「……はい」
いつも、壊れ物を扱うように触れる加山さんは、僕をそれでも忌ま忌ましいモノのように見つめる。
いま、抱き止められているこの温かい胸も、背中を撫でる優しい掌も。
触れているのは、『僕』じゃないんだ。
だから、心地いいなんて思っちゃ……駄目なんだ。
………………………………………
何故このお題で、この回答だったんだ自分!…雰囲気的に淫靡な感じを目指したんですが撃沈です。
主従物好きすぎる私。
身代わりにつれて来た少年と、調教?躾?担当の関係。
性格が全然、主と違う上に強いる内容の酷さに、思い悩む秘書と。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。