オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
足の指を、一本一本丁寧に口に含む、加山さんから目を逸らしたら膝を叩かれた。
「駄目だ、倫様ならばそのまま悠然と見下ろす。目を開き、私を見ていなさい」
「……は、い」
背中が、ゾクゾクするのは、多分気持ち悪い……から。
だって、汚れた足は、風呂場で洗って布で拭けばいいはずだから。
それを加山さんは、舌で汚れを拭う。
「ああ、ふくらはぎも膝小僧も、汚れてますね」
「あ……っ!だ、ダメ!」
「……何度言ったらわかるんだ、倫様はダメだと言わない。当然だという顔で、受け止めろ」
無理、当然なんて無理だよ!
大体僕が椅子に腰掛けてるのに、加山さんが床に膝をついてるなんて。
じわじわと上がってくる、加山さんの顔から目を逸らすことも許されずに、ガクガクと身体を震わせる。
身体が熱いのも、なんか変な気分になるのも気のせい。
早く終わってほしくて、大人しくしていた僕に、加山さんはふと顔を上げた。
「気持ちいいですか、倫様」
「……はい……」
ぼうっとする頭で、わけもわからず答えれば、加山さんが少しだけ表情を和らげた。
優しい眼をして、膝にそっと唇を落とすと、加山さんは立ち上がった。
「終了です」
「あ……はい」
どうしよう、頭もぼうっとして立ち上がれない。
立たないと、また叱られるのに。
泣きそうになる僕に、加山さんが手を伸ばして来た。
「今、今立ちます! ……立つから、ぶたないで……!」
「手を貸すだけだ、ほら」
動けない僕の両脇に手を差し入れて、加山さんが抱き起こしてくれる。
覚束ない足元の僕を支えながら、加山さんは少しだけ苦い顔見せた。
「これ以上は、手を貸せない。……後は自分で処理するんだな」
「……はい」
いつも、こうして僕たちの『研修』は終わる。
虚しいなんて、考えちゃだめだ。
これ以上は、僕も加山さんも踏み込めない域だから。
「ありがとうございました……」
呟いた僕を、加山さんが一瞬だけ強く抱きしめてくれたよえに感じたのも…多分、気のせいだ。
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直接、挿入シーンですとか、擬音とかを使わないで淫靡な雰囲気を出したいシリーズなんですが。
この加山のむっつり具合が、余計に偽坊ちゃんを苦しめているかなぁと。
もどかしさと、縮まらない距離というのは、最高の萌えスパイスなんです。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。