オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
僕とあいつの間に、いつの間にか割り込んで来たあの子。
可愛い顔の割りにさばけた性格で、でもしっかり女の子で。
あいつは、そんなあの子に恋をした。
多分、当然な流れなんだと思う。
「アカネがな、お前になんか遠慮すんだよ。今日も後でね、とか言ってこねーし」
「悪いことしたね、それは」
久しぶりに会った第一声が、それって傷つくんだけどな。
お前こそ少しは遠慮しろよ、俺の前でアカネちゃん自慢に、惚気大会って。
「なぁ、なんか怒ってる?」
「不愉快なだけ。独り者に、自重しろよなお前」
「あー、なんだ、そっちか。わりぃわりぃ」
「そっちって、なんだよ」
「いやお前、本当はアカネ好きなんじゃねーかなぁって、実はかなり疑ってたの。悪いな」
思わず出たのは、呆れた溜息だった。
確かにアカネちゃんと僕は、仲がいい。……そう、このキモチが気付かれるくらい、仲がいい。
アカネちゃんは、電話でずっと僕に謝っていた。
彼女の誠実さが、大好きだ。
『条件悪いよね、同じ土俵に立てなくて…ごめんね』
気にしなくていいよと、本気で心から言えたのは、彼女のおかげだ。
それをこのバカは。
……参ったな、僕たち二人は見る目ないのかな。
でも、アカネちゃんがこいつを好きになった理由を話してくれた時が、僕は1番嬉しかった。
『あんなに力説するんだもん、いい男だってのは完全に刷り込みだよ』
こいつを、そう思ってくれて、ありがとうアカネちゃん。
ちょっと脳みそは塩気足りないけど、こいつは本当にいい奴なんです。
僕をずっと虜にしてる、憎い奴なんです。
「お前がそうやってフラフラするのが、1番危ないだろ」
「あ、確かに」
「アカネちゃんは、お前に勿体ないくらい素敵な人だよ。……でも、そんなアカネちゃんを捕まえたお前は、もっと凄いよ」
短い逢瀬は、いつもあっという間に時間が過ぎる。
今日も慌ただしく、待ち合わせ場所に向かい駆け出したあいつが、駅の改札に飲み込まれるまで見送る。
今日も僕は、ちゃんと親友の顔をしていられただろうか。
一生抱えていく、『親友』という仮面。
相当な演技力を見せつけて、あいつと僕を欺き通すもの。
「……人生まだ長いなぁ」
きっと生涯、もう外れない仮面の張り付いた頬に、風があたる。
目許から顎の先まで、一筋冷たいと感じたのは、――気のせいだ。
……………………………………
【彼女の恋人】…というまっきーの曲が、うっすらモチーフでした。
あれは、彼女への横恋慕の歌でしたが、根底にある思いは同じかなぁと。
王道の話だと思ったんですが、とっても嬉しいコメントを頂いて良かったと感激しました。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。