オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
無人の部屋を開ける。
つい癖で、部屋の中に声をかけた。
「ただいま~」
「え~? 誰かいるのぉ?」
部屋について来た女の子の、不思議そうな顔を取り敢えず流して、床に座る。
「実はねぇ、この部屋出るんだよねぇ」
「えぇ! それって、やっぱり……」
「ん~、何かねぇ」
ゆっくり女の子の肩に腕を回して、引き寄せる。
耳元に息吹き掛けるよう、顔を近づけた俺の眼の前に、突然男の顔が飛び込んで来た。
血みどろの、眼が垂れ下がった顔のアップ。
俺は、女の子の耳元で、絶叫を上げた。
***
「なぁ、マコト。拗ねんなって」
「拗ねます。……どうせ僕、実体はない、いてもいなくてもわからない幽霊です」
「マコちゃ~ん」
元の可愛い顔に戻った、俺の部屋の同居人兼恋人……の、幽霊・マコト。
さっきから部屋の北側、箪笥と壁の隙間に入って、拗ねまくりだ。
「しょうがねぇじゃん。俺、健康男子だし、肉体的にも燃えたいし」
「だっ、だからって、ここに知らない女の子連れてくるのは、ルール違反です!」
「あはは、その言い方すげぇ可愛い。恋人っぽい」
「ぽいだけで、すいません!」
涙目で、俺を振り向いた瞬間、マコトは暗がりから掻き消えた。
やべ、完全に怒らせた。
「ってなぁ……」
思わず、ぼやきたくもなる。
どんなに、あいつが涙流しても、俺には触れられない。
抱きしめて、キスも出来ない。
あいつと付き合ってる影響か知らんけど、ラブホ行っても風俗行っても、怪現象テンコ盛りで。
発散出来ずに、溜まる一方だ。
「愛してるんだけどなぁ、マコちゃん」
引っ越して来たその日に、俺に驚いて怯えながら出て来たマコト。
初めて喋った日に、恥ずかしそうにはにかんだマコト。
性格的に好みドストライクで、外見の幼さも超ツボで。
それなのに触れないって、どんな拷問だっつーの。
「明日はマコトの好きな、かっぱえびせん買ってくるか」
機嫌直してもらって、また笑顔を見せてもらえるように。
俺に出来るのがそれくらい、ていうのが少し淋しい、夏の終わり。
…………………………
遊び人だけど一途×健気幽霊で。
私、どうしても自分の中の整合性の問題で、ご都合主義的に二人が触れ合える方向に話が膨らまず<(_ _)>
続編希望されたんですが、お応えできなかった一作。
けど、当人たちはどうにか楽しめる方法を見つけそうな気がします。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。