ゴースト ２

　恋人は自慢したいのが男心です。

【問題】
　【転居しました】というお題で萌えさせて下さい！

　『転居しました

　近くに来たら、遊びに来いよ

　可愛くて恥ずかしがり屋な、不思議な同居人も一緒です

　心の眼でみれば、見える


　〒▲▲▲‐▲▲▲▲
　★★市★★★町★‐★‐★　★★★マンション503』


　高校からの付き合いのある悪友から届いた、転居ハガキは、あの馬鹿のどアップ写真だけが印刷されていた。
　飽きっぽく引越し癖のあるこいつは、契約更新をまともにしたことがない。
　定住しないで、フラフラと住み処を変えるんで、正直友人連中で正確にあいつの現住所を把握してるのは、俺くらいだろう。
　でも初めてだな、あいつから転居ハガキが来たの。
　しかも、書かれている内容が、妙に引っ掛かかる。

「あのぐうたらダメ人間に、同居人？」

　一時期、ほんの半月だけ部屋をシェアした旧知の仲の俺とですら、危うく絶縁になる大喧嘩に発展した、あの男に同居人？
　興味が沸いて来る。
　俺は夜を待って、あいつに電話をすることにした。


　　＊＊＊


『よぉ、ハガキ届いた？』
「来た。つかおまえ、いつの間に、同棲相手見つけたんだよ」
『や、見つけたっていうか、先住人？　金のかからん、ルームシェア相手って感じ？　あれ？　一緒に写真撮ったけど、やっぱ写ってなかったか』
「は？」

　おかしな言動は、慣れたもんだが。
　写真を一緒に写して、写らない相手？
　部屋の先住人？
　蒸し暑い室内の空気が、一気に冷えた気がした。

「……おまえ、それってさぁ」
『可愛い奴だぞ～、大人しいし』
「いや、おまえそれは、俗に言うだな」
『しかし悩みは、掴め無い触れ無いなんだよ。俺、オカシクなりそう』
「充分おかしいわ、おまえ」

　変わり者だと、思っていたが、ここまでだったのかコイツ。

「馬鹿、早くそれこそ引っ越せよ！　変なのに取り憑つかれたら、どうすんだ」
『冗談だろ、マコト置いて出てけるかっての。つかさっきから俺の隣で歌唄ってんだけど、全然そっちに聞こえねぇ？』
「おま……っ、本当に止めろよそういうの！」
『まぁまぁ、いつでも遊びに来いよ～？　マジで可愛いからな、マコト』

　ああ、神様。
　せめてあいつの同居人が、黒光りするガサガサするアレならば、俺もまだ許せるのに。
　そんな目に見えない奴って、……クソ、俺は友達やめてもいいですか。




　…………………………

　幽霊恋人・マコト君の彼が送った、転居ハガキのお話。
　迷惑な友人は、どこにでもいるものだと（笑）



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