オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「献血ご協力、お願いしまーす」
夜中に小腹が減って、コンビニに行った帰り道。
自宅までの近道の、路地裏。
街頭の下に、どう見ても僕と相性の悪いヤンキーが特有の座りで、僕を待ち構えていた。
「はい」
「お、話わかるねボクちゃん」
近寄るヤンキーに、仕方なく財布を差し出す。すると、ヤンキーは不思議そうに、目を瞬いた。
「財布に血液は入ってないっしょ」
「え……血液? お金じゃなくて?」
僕も目を瞬く。ヤンキーはふっと、表情を和らげた。
「献血協力って、俺言ったじゃん?」
悪戯っぽく笑うヤンキーの視線と、諸にぶつかる。
あれ、なんか変だ……身体、動かない。
視線が、逸らせない。
「献、血……? 赤十字の人には、見えないけど……」
「ああ、超個人的、可及的速やかに血液が必要なの。俺が」
ヤンキーに肩を捕まれる。けど、身をよじれない。
街頭後ろの、壁に背中を押し付けられるまま、僕はヤンキーを見上げるしか出来なかった。
「あ……の」
「んー?」
脈でも確認するかのように、首筋に指を宛てる、真剣な顔のヤンキーに、僕は細い声を出した。
「痛いのは、嫌いなんです! 血抜くなら、麻酔使って下さい」
「痛くしないから、大丈夫。……ほら、俺の眼見て。力抜けて、痛いのも感じなくなる」
「ん……」
言われるまま、力が抜けてく僕の手から、コンビニの袋が逃げて行く。
肩を掴まれてないと、倒れそうな僕に、ヤンキーは少し申し訳なさそうな顔をした。
「腹減りすぎて、ちょっとたくさん吸うかもな」
「……吸う? 何を?」
「血。……てか、いい加減気付かね? 俺こう見えても、吸血鬼なの」
「はぁ」
頭、回らない。ぼーっとする僕に苦笑しつつ、ヤンキーはいきなり僕の首筋に顔を埋めた。
「いただきます」
「……はい、どうぞ」
反射的に答えた僕に、耳元で吹き出す音が聞こえた。
覚えているのは、そこまでだった。
一瞬だけ、注射のような痛みが走って、そのあとは全然、何がなんだか覚えていない。
気付けば、薄ら明るくなった路上に、僕はやたら口許によだれを垂らし、服を乱して転がされていた。
身体が、異様に怠い。
「…吸血鬼…」
微かに思い出した言葉を、口に出せば嘘っぽくて。
ただ、重い身体を引きずり帰った後、コンビニの袋から一枚のメモが出て来たので、あのヤンキーが実在するのは間違いないと思う。
『ご馳走様でした』
………………
吸血鬼というと「ときめきトゥ●イト」世代の人間です(笑)
紳士的でキザな吸血鬼よりも、軽くてヤンキーチックな方にしたのは…完全に趣味です。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。