オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「は? ヘアゴム?」
「髪、欝陶しそうに払っていたから……なんですけど、いりませんか?」
尻すぼみになった僕の言葉に、美喜はフンと鼻を鳴らした。
僕の勤務先であり、たった一人の同僚であり雇用主の男は、大変気難しい。
種族オレサマ人種だ。
「いいか、この俺には何者にも侵しがたい美しさがある」
「……承知してます」
美喜は、美しい。
そう、どんな美辞麗句を並べ立てても、当て嵌まらない美しさ。
だから、常日頃至ってシンプルな恰好しかしない。
全く、服装や外観に頓着しない。
探偵業としては、間違っていないが、かえってその美しさを際立たせる。
「気に入らないなら、別に捨てていいですよ」
「おまえが勝手にそう決めるのが、気に入らねぇ。髪ゴムなんざ、なんだっていい」
「じゃあ、いつか使うように持ってて下さい」
「わかってねぇな、おまえ」
綺麗な顔を、険しくさせて美喜は僕の隣に腰掛けた。
僕はあっさり、美喜によってソファーに縫い付けられた。
見下ろしてくる顔にかかる、赤みがかった長い髪をかきあげてあげる。
いつ見ても、触れても綺麗な髪だ。
下からのアングルでも、美喜の美しさは損なわれない。
「おまえから貰うモンなら、輪ゴムだろうが食パン留めてるネジネジだろうが、全部立派な装飾品になる」
「へぇ……そうですか」
「ありがたく思え、盛大に感謝してやるから」
「僕はたいそれた事、しちゃいましたね……」
本当にこの男は、理解しがたい思考回路を持つ。
価値基準も、判断基準も、彼にしかわからない。
……でも、黙っておこう。
大きなヒマワリが付いたヘアゴムが、実は拾い物だということを。
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相手によっては、輪ゴムの一本でも大事にする人って、いるじゃないですか。
まして、恋人なら尚更。そんなお話。
多分明日には、美喜の頭に可愛いヒマワリが咲いてるだろう。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。