オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「……今日もご苦労様」
熱っぽい身体を横たえ、うずくまる電球の肩に電気は手をかけた。
「さわんな!」
弾き返された手に走った痛みに、一瞬眉を潜めたが、電気は哀れむように目を細めた。
「ごめん」
「たく……馬鹿みたいに、ガンガン流してきやがって……」
「仕事だからね」
「俺は……!」
「そろそろ、寿命なんだろ?」
哀れむ視線に、冷酷さが滲む。
電球は、力の入らない身体を起こした。
「ああそうだよ、もうそんなに長持ちしねぇ」
「次に来るのも、君の兄弟かな。家主さんは、無頓着だから、時々よその子を連れてくるけど」
「ああ、それな。……次、LEDって奴が来る」
ふっと電球は、電気に安心させるよう笑いかけた。
慈愛に満ちた笑みに、電気は目を見張った。
いつも憎まれ口を叩いていた、電球。
最初から、そんなに長く一緒にいられない運命なのは、わかっていた。
しかし、家主が予期せぬ長期出張で家を空けたため、この電球とは通常よりも長く傍にいることが出来た。
――今までになく、長く。
その相手の寿命が、間もなく尽きようとしている。
「次に来る奴、超長生きらしいぜ? よかったな」
「100W電球……」
「仲良くやれよ? なんか大人しい奴らしいから、いじめんなよ」
「電球!」
電気は思わず、手を伸ばし電球を抱きしめた。
火花が二人の周囲に散る。
電球は目を見張り、大きく背をのけ反らせた。
だが、電気の肩を掴む手を離さない。
「あ……、お、れ……」
「電球っ!」
「おれ、おまえと、一緒に……いれて、楽しかった……あぁぁっ」
カッと電気は、全身を光らせた。
まばゆい光に、電気が目をつむる。
静寂が、すぐにその場に訪れた。
「電……球……」
力の抜けた身体が、腕の中に残された。
何度も繋がった箇所が、可哀相に黒ずんでいる。
呆然と、電気は事切れた電球を抱きしめ続けた。
「うわ、トイレの電気ついに切れた! あったらしいLED電球、早速試してみっかな~」
型を調べて購入したはずなのに、その新しい電球は点くことはなかった。
配線が、ショートしていたからだ。
トイレの電気配線のショートという不可解な現象に頭を捻りながら、家主は使用済み電球と切れた電気コードの一部を不燃物へ廃棄したのであった。
……………………
トイレの100W=無駄な明かり、なんて例えが昔ありましたが。
長持ちLEDに取って替わられようとしている、電球をの事を見ていたら浮かんだお話でした。
久々に投稿したのが、コレっていうのが流石…私です。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。