オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
白いタキシードの腕に、絡む細い腕。
まばゆいフラッシュの光の中、真っ直ぐ前を見てあいつは高砂席に歩いて行った。
高校大学と、散々寝た相手が今日、他人のモノになる。
……残念ながら、新婦の方じゃなく新郎の方が、だ。
恋愛関係だったワケじゃない。
どちらかと言えば、俺の方が一方的に手を出していた関係で……大学卒業を機に、まんまと逃げられた。
「あーあ、あいつ鼻の下伸ばしまくり」
「だな」
乾杯用のシャンパンも、新婦側の親戚の長い挨拶で生温くなってきた。
久しぶりに会った元同級生達と他愛ない会話をしつつ、俺の視線はあいつから逸らせなかった。
最初は怖がっていたくせに、いつしか腕の中で俺に安心して身を預けて来たあいつの体重。
その温もり。
好きだの愛してるだの、甘言は吐かなかったが、何と無くこのまま関係が続くとあの頃の俺はたかをくくっていた。
思わず空いた掌を見つめていた俺に、隣に立つ友人が肩を叩いて来た。
「先越されたな」
「……そうだな」
「しかも可愛い嫁さんで、ムカつく」
顔を顰た友人に、苦笑を返す。
まったく思い描かなかった未来だ。
逃げたあいつを、掠いにも捕まえにも行かなかったのは俺だ。
諦めたと言うより、追い掛けて拒絶されるのが……多分、怖かった。
***
キャンドルサービスで、各テーブルに回って来た二人に、友人達はカメラを向けたり絡んだり。
俺だけ一人、席も立たずに温いビールを飲んでいた。
「大迫」
「よ、おめでとう」
立ち去り際に名前を呼んだあいつに、向き合う。
普通の声で、態度で挨拶をした俺に、あいつは少し顔を俯けた。
「……ありがとう、来てくれて」
「おまえの誘いだしな」
本当は、欠席に丸をつけて突き返したかった。
そうは言わず、ビールを置いて立ち上がる。
あの頃より、少し大人びた顔。
欲目じゃなく、純粋に、その顔は綺麗だと思った。
「おまえに、ああいうドレス着させてやれなくて残念だよ」
花嫁を指差し茶化した俺に、あいつはよく見慣れた表情を見せた。
泣き出す一歩手前の顔。
「俺だと、似合わないよ」
「構うもんか。自己満足だ」
「……相変わらず、自分勝手だな」
手を伸ばせば、触れられる距離なのに。
俺の手は、動くのを拒否した。
嫁に促され、あいつがテーブルを離れる。
振り返りかけたあいつを、俺はまた――捕まえる事が、出来なかった。
……………………………
投稿時「切ない」「悲しすぎる」とコメントを頂いた1本。
結ばれない関係も、後悔も、有り得るかなと。
基本的にハピエン主義なんですが、幸せの結末の形は幾通りもあるかな…という習作。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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