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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2010年05月27日 (Thu)
 生まれて、消えるまで。

【問題】
 牛でお願いします

拍手[1回]



「今日は子牛生まれそうだから、外出控えろっつったぺや!」
「しゃーねーべで、アケミちゃんが『たっちゃん先生来ないと、泣いちゃう』つーんだからよ!」

 街灯のない、暗い畦道をハイビームで照らしながらハンドル握る。
 助手席のシートを倒してふて腐れてるこの男は、この町唯一の獣医だ。こんな言動だが、腕だけはいい。
 そして、腐れ縁の幼なじみだ。
 奴は横になったまま煙草をくわえて、外を見ていた。

「寒ぃで、窓閉めろボケ」
「……誰かさんが、肺病んだから煙流してやってんだべな」
「普通はそこ、遠慮して吸わねーべで」
「いまさら、遠慮する関係でもねぇべよ」

 鼻で笑い、シートから身を起こし、灰皿にまだ長い煙草を押し付ける。
 ごろりと横になりながら、奴は素直に窓を閉めた。

「経過どうよ?」
「あ? ウシミのか?」

 今産気付いてる牛の名前を出したら、ミラー越しに奴の呆れた顔が見えた。

「おめぇのに決まってっぺや」
「あー、俺か。ああ、あんばい悪くねぇよ」
「……そ」

 一年前、定期検診で肺に陰が見えると言われて。
 検査をしたら……まぁ、お約束のアレで。
 まだ、孫の顔も見せてないのに!嫁も貰ってないのに!と母親にえらい怒られた。
 幸い、発見が早くどうにか手術が間に合ったが。
 こいつとは、どうも一生付き合っていかなきゃならないらしいと医者に言われた。

「若いと進行早ぇからなー、気をつけねぇと」
「若くもねーべよ、俺ら」
「ココじゃ、若い部類だ」

 アラフォーだけどな、と呟いた奴は、窓をまた少し開けた。

「寒いでば! 言ってんべよ!」
「……中で吐くのと、窓から垂れ流すのどっちがマシだで」
「オメ、ふざけんなよ! そだで、診れんのか牛!」
「俺は動物のお医者サマだぞ?」

 全開にした窓から、夜の冷たい空気が思い切り入って来た。
 一年前、あの検診の帰り道。
 もしもの可能性に、パニックになった俺が頼ったのは、何故かコイツだった。
 犬だ猫だ狸だに囲まれた中で、年甲斐なく泣き喚いた俺を、この男は何を言うでもなく一晩中付き合ってくれた。
 ただ、一言漏らしたこいつの言葉が忘れられない。

『……なんで俺、獣医なんだかな』

 俺だって不思議だ。
 動物嫌いだって言ってたおまえが、獣医学部進学したのが。
 俺の育てた牛面倒見てやると、この町に帰って来たのが。

「あー、早くスポンと生ませて、迎え酒すっぺなー」
「おう、頼むぞ」

 お袋。
 コイツとの腐れ縁が続く限り、嫁も孫も生きてる内は期待しねーでくれ。


 
 ……………………

 敢て、余計な情報を盛り込まず投下した…我ながら意欲作(という事にして下さい)
 出題者様の意図が汲めず…牛、っつたら酪農だべなぁと思った田舎者。
 二人にしかわからない話を盗み聞きした、そんな感じで伝われば幸いです。


 


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 萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。