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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2010年06月02日 (Wed)
 相反する存在だからこそ。

【問題】
 『太陽と雪だるま』でお願いします!

拍手[0回]



「あちゃ、やっぱり溶けて来たか」
「あー、ダメかやっぱ」

 昼休み。
 日課で見に来ていたそれは、大分形を崩していた。
 数年ぶりの積雪に、小さい雪だるまを校舎の陰に作ったのが、4日前。
 日蔭で、涼しい場所だから長持ちするかと思ったが、校庭の雪が溶けるようにコイツも溶けて来た。

「昔なー、雪だるま溶けて大泣きしたことあんだわ、俺」
「へぇ。可愛いとこあるじゃん」

 体温でも溶ける雪じゃ、形を直すのにも触れられない。
 俺達は並んでしゃがみ込み、落ちてた細い枯れ枝で水溜まりを突いた。

「あん時は太陽憎んだね」
「今は? 溶かしてるぞ?」
「今は太陽好き! だって雪だと、グラウンド使えねーじゃん!」
「サッカー馬鹿」 
「うっせぇ!」

 日焼けした肌は、確かに太陽と仲良しな証拠だ。
 並ぶと余計、白さが目立つ俺の肌とは大違いだ。

「形あるから、無くなると淋しいんだなー」
「……何おまえ、悪いの食べた?」
「食べてねーよ! って、おまえその手! 冷たっ!」
「おまえが体温高いんだろ」

 額に触った俺の掌に残ったのは、冷えた指先をじんわり暖めるぐらいの熱だった。
 校庭の陰だから、当然寒い。
 意識したら余計寒く感じて、俺は身体をぶるりと震わせた。

「雪だるまさんも消えて来た事だし、教室帰んね?」
「帰るかー。あー、雪だるまさんー!」

 毎日、こうやって通った昼休みもきっと今日で終わる。
 あの雪が降った日、俺はここで一人で雪だるまを作っていた。
 そこに偶然、職員室帰りのこいつが通り掛かった。
 雪だるまを置いてから、翌日から天気がよくなって。
 心配だから見に行こうと誘われ、通った数日。

「また雪降ったら、作ればいいだろ?」
「おまえも一緒に作る?」
「俺?」

 やけに真剣な顔で聞いてくるから、俺は驚いて答えに詰まった。
 週間天気予報で、また来週雪が降ると言っていた。

「別に、いいけど」
「よし! あー、早く雪降らないかなー!」

 しんみりしてた顔が、俺の好きな太陽みたいな笑顔になる。
 そんな笑顔に、俺はきっと脳の中の常識を溶かされてるんだ。



 ………………………………

 春先に書いたお話です。
 そう言えば、今年は雪が5月近くまで降っていましたね…@東北。
 「北風と太陽みたい」と言われましたが、雪だるまは溶けても二人の関係が解けなければいいかなと思います。




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