オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
首に絡みつく腕も、途切れ途切れの荒い呼吸も。
掠れた声で、切なげに俺を呼ぶ声も。
全部、切り捨てる。
今日で、最後だ。
そんな思いを込め、俺は全身に刻み付けるよう祐司を貪り尽くしていた。
離れることを、別れる事を躊躇い続けた事で、ようやく落ち着いて来た祐司の精神のバランスを、俺は揺さぶった。
依存。……祐司は、俺の身体に依存してしまっていた。
「ダメだって、わかってるのに……!も……おまえと……っ」
泣きじゃくる頭を抱え、奥まで刔る。
罪悪感と、俺への欲求との狭間で苦しむ祐司が、色めいた悲鳴だけを上げるようになるまで、抱き続ける。
いつかの様だった、それは。
俺達は、壊れた歯車のまま、固く噛み合い過ぎた。
……もう、解けない。
背中がのけ反り、腕の中で痙攣を繰り返した祐司が、絶頂を迎える中。
俺は、呼吸の整わない祐司の唇に、そっと労るように唇を落とした。
***
「いい加減、うんざりだ。お前の面倒を見るのも。……男が欲しいなら、他を当たれ。俺には由梨がいるんだ」
身支度を終え、帰りがけた踵を返し、ベッドで背中を向ける祐司に向かい、俺はそう吐き捨てた。
心が、軋む音を立てたが、無理矢理言葉を続ける。
「いつかそうしていれば、俺がお前に本気になるとでも思っていたのか?……男相手に、馬鹿馬鹿しい」
振り向かない背中は、一瞬震えた切りだった。
泣き声も、喚き声も立てない。
祐司は静かに、凪いだ海のように静かに、ぽつりと声を漏らしただけだった。
「ごめんな」
謝るなと、叫びだしかけた声を、唇を噛み締めて俺は耐えた。
謝るな、罵れ!
だが、祐司はそれきり何も言葉を発する事はなかった。
築年数が経ち建て付けの悪い扉は、それでも鍵を付け直させた。
いくら男の一人住まいとは言え、不用心過ぎる祐司を、どれほど俺は詰ったか。
――こいつに、「もしも」があったならば、俺はきっと壊れる。
そんな不安が、いつも付きまとっていた。
当然のように、持ち歩いていた合い鍵を、色褪せた畳に投げ付ける。
完全にこれで、俺は祐司を捨てる形になる。
浮かぶのは、自嘲ばかりだ。
「……じゃあな、戸締まりは忘れるな」
ミシミシと、心が軋むのを聞きながら、俺は振り返らない祐司の背中を最後にもう一度見つめ、玄関のドアを閉めた。
空には、珍しく星が見えた。
澄んだ、冷え冷えとした12月の空気が、濡れた頬には痛かった。
にほんブログ村
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。