オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
入学した高校での部活動に、同好会から今年ようやく格上げされた、調理クラブに入部を決めた。
決め手?そんなもん、適当に出来そうで女子と仲良くなれそうだからだ。
意外にも、部長さんは3年男子だったが、他はみんな女子。
1年も、俺以外の5人は女子。
みんな可愛い。パラダイスだ。
「マジパねぇっす、超うめぇ!」
部長の作ったプリンを一口食べ、俺が絶賛すると耳まで紅くして部長は俯いた。
「……ありがとう」
「マジで先輩天才ッスよ、あ、今日も昼ゴチッす」
昼休みの調理室。
基本、部員は放課後しか入れないのを、部長は鍵を持ってるから自由に出入り出来る。
「喜んでもらえて、嬉しいよ。やっぱり、誰かに食べてもらわないと、勉強にならないし」
部長は恥ずかしそうに俯いて、俺が突っ返した弁当箱を洗い出した。
部長は、将来調理師になりたいそうだ。
だから、試食役が必要だと入部してすぐに声をかけられて、俺は部長が作る弁当やデザートを昼休みここで取るようになっていた。
放課後は、俺はクラスの連中や女子と遊びたい盛りなんで、ほとんど顔を出さない。
でも、昼休みだけは毎日、弁当とデザートにつられて部長に会いに、ここに来ていた。
「いつも、付き合わせてごめんな」
「いいッスよ、俺どうせ作るのは無理だし。食べるの専門で」
「そう言わないで、波多野も作る楽しみ覚えなよ。俺でよければ、教えるし」
「そッスね」
「じゃないと、部の実績無くなっちゃうしさ」
俯いた横顔に、あーじゃあ俺、目玉焼きくらいから覚えてもいいかな、なんて思ったりした。
ぶっちゃけ、入部した時たくさんいた女子の半分以上は俺と同じ、最初から幽霊部員希望で、一ヶ月もしないで来なくなった。
残りの連中は、独創的調理に凝りすぎて、俺の頭と舌には理解不能。
つうか、部長の作るメシは、母ちゃんの手抜き料理より何倍も旨いと、俺の舌が言っている。
なんつうか、本人に似て優しい味って感じだ。
どうも最近、部長の味に慣れすぎて、ウちの母ちゃんの味オンチぶりが気になってしょうがねぇ。
なんかそれも、この人がきっかけだと思えば、可笑しいよりもくすぐったい気分になる。
「もうすぐ俺も、引退するしさ」
ぽつりと呟いた声に、俺は目の前に迫った夏休みを初めて恨めしく感じた。
部長は、調理専門学校に入るための準備を始めるのに、9月になったらほとんどここにも来なくなる。
それは、この間の数少ない部の集まりで、部員に話していた決定事項だ。
「俺の昼飯、もう作って貰えないッスか」
ちょっと恨みがましい声になったのは、気のせいだ。
なんk、老いてかれるとか、捨てられるとか思うのも、気のせいだ。
「それは、波多野が嫌じゃなきゃ続けるよ」
「じゃあ……あと俺に、目玉焼きの焼き方教えてほしいッス」
「いいよ」
これで少し、この人と一緒にいられる時間が延びた。
そう思うと、無性に嬉しくなる。
そう、このまま一緒にいられたら。多分きっと、ずっと楽しいに違いない。
旨い、飯も食えるし。
そうだよな。
人生の目的と、進路が少し見えた16の夏。
……取り敢えず、この人に追い付いて一緒に並んで働くために、料理よりも勉強、ちょっとだけがんばってみようと決意した俺だった。
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最近の回答から。加筆訂正しています。
男子の行動が、ほぼすべてにおいて、不純な動機が原因だったりするよね、と。
不純な割に、しっかり純なとこあるよねと思うと、なおのこと愛おしいなと思います。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。