オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「おい高梨、おい」
「んー? なに、克巳さん。あ、お腹空いた? じゃ、適当にカップ麺でも食ってて」
夜。金曜の夜だ。
世間のカップルが男女問わず大半、長い逢瀬を楽しんでるはずの、金曜の夜だぞ。
それをなんで、俺の男は、このセクシィが服来て歩いてるエロスの権化の俺を無視して、テレビにかじりついてるんだ?
「高梨!」
「何? あ、構ってほしかった?」
「違う! 無視してんなって話だ!」
「同じこと、だよ」
甘いマスクというのがあるなら、この顔を売ればいいという顔が眼を細める。
手招きをした高梨に近づけば、有無を言わさず腕を引かれ、膝の間に座らされた。
「はい、しばらく大人しくしてて下さい」
「嫌だ」
「もー、ワガママだなぁ」
「お前がワン公に夢中だからだろうが!」
「週末の俺の楽しみだから、仕方ないでしょ」
そう、この高梨という男。
無類の犬好きなのだ。
一週間録画していた、今日のわんこから始まり、ペット番組を観るのに集中しだすと、この俺の溢れ出す魅力すら無力になる。
ちなみに、録画は最低3回繰り返すのが通例だ。
この俺が今、薄いピンクのベビードールを着ているにも関わらず、ガン無視だ。
レースをあしらった、赤い刺激的なショーツもつけているが、まったく効果無しだ。
「克巳さんも、犬好きになればいいのに」
「……あんな怖い目に遭えば、誰だって嫌いになるっつの」
「心開けば、犬は自然とわかって寄ってくるよ」
この野郎。
言外に、俺が心閉ざしてるみてぇに言いやがって。
「大丈夫、ちゃんとあとでたっぷり克巳さんを構ってあげるから」
「なんだ、あげるって上から目線は」
「だって構ってほしいんでしょ?」
違うと反論しても、コイツには同じ事だと言われるだけだから、答えない。
どーせ俺は、犬以下だ。
眼鏡屋で、俺の魅力が倍に映る眼鏡でも作ってきやがれ。
「あのさ、克巳さん」
「……なんだよ」
「俺はね、克巳さんが綺麗だから好きなんじゃじゃないの」
「は?」
「中身も、ちゃんと好きだよ」
お前のその、ワケわからん理屈は聞き飽きたんだよ。
人を、まがい物扱いすんな。
俺の神々しさは、中身も含めて俺に決まってんだろ。
結局、退屈過ぎてその夜は、高梨に後ろから抱きしめられて寝てた。
眠る俺にすら、惑わされねぇなんてこいつ本当に大丈夫か。
……まだまだ、輝きに磨きかけねぇとな。
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まぁ、普通に克巳さん変態だと思います。
高梨の懐の広さに、完敗。

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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。