オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
誰だって、消したい過去の一つや二つはあるだろう。
俺の場合は、『肉まん』と呼ばれた、あの屈辱の日々だ。
「克巳さーん、いい加減卒アル見せ下さいよ」
「ねぇよ。俺は過去を振り返らない男なんだ」
「おーおー、カッコイイ。けど俺は、過去も未来も克巳さん独占したいんです」
天使の美貌、奇跡の造詣と謳われる俺に、過去なんてない。
次元も時間も超越した存在。
そういうことにしておけと、この年下の恋人を洗脳しているのに。
今までの単純な男と違い、こいつはなかなか諦めない。
「卒アルだけじゃなくて、写真もないって。克巳さん撮られるの好きなのに」
「神々しすぎて、ガキの頃はカメラに収まらなかったんだ」
「徹底的だね」
「神秘的な俺の姿は、今あるだけで奇跡と思え」
「はいはい」
宥めるように、抱きしめる腕が頭を撫でる。
くそぅ、なんか俺が駄々っ子みたいじゃないか。
違うぞ、これはお前のため、ひいては二人のためなんだ。
お前は直視出来んのか、アレを。
表紙から一番後ろまで、ラクガキされまくった卒業アルバムを。
パンパンに張った、白いアンパンマンみたいな俺の顔を。
お前は優しいよ、今までの男とどこか違うと思ってはいる。
けどこれは、俺の意地だ。
「克巳さんの可愛い子供時代、いつか絶対拝ませて下さいね」
「神への冒涜は罪だぞ」
「十分俺達は、罪を犯してますから気にしません」
抱きしめる高梨の胸に、頭を預けて考える。
……実家の奥深く葬ったアルバム、探してみるかな。
お前なら、笑い飛ばしてくれるか?
綺麗になったのは、努力の賜物なんだって、信じてくれるか?
久しぶりにその夜、肉まん姿の俺が、膝を抱えて泣いてる夢を見た。
高梨。
お前は呪いを解ける、勇者になれるか?
相当手強いんだぜ、お前の敵は。
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性懲りもなく新キャラです。
コンプレックスだらけや、トラウマだらけのキャラが書きたかった。それだけです。
奇跡の造詣、イメージ的にはスト●ラの巧のノリと雰囲気で。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。