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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月24日 (Fri)

 その3。 傾向:包容×俺様誘い受 : 高所恐怖症 : 強がり : 高梨視点


【問題】
 BLカップルが観覧車に乗っています。

拍手[1回]



「克巳さん、本当に高いとこ苦手だったの?揺れるのもダメならダメだって、先言ってよ」
「……天使は自力飛行以外は認めねぇんだよ。こんな、重い塊が、空に浮くとか、非常識だ…っ」
「はいはい。とにかく遠く見て、息吐いて」

 本当に、強がりだけは一人前って言うか。
 どこまでも尊大って言うか。
 自分から遊園地誘っておいて、ガキ臭いから乗り物乗らないだの、高いから飲み食いしないだの、捻くれたことばっかり言うから。
 ささやかな意趣返しで、上手く誘い込んで観覧車に乗せたはいいけど。
 …やばいなぁ、やり過ぎた。
 顔面蒼白な克巳さんに、さすがに悪いと思ってるんだけど。
 本人が、テンパり過ぎて、もう耳貸してくれないんだよね。

「克巳さん」
「うるさ、馬鹿この高梨! 動くな! 呼吸止めて、石になれ!」
「俺だけ石になっても、しょうがないでしょ。はい、二人で落ち着こうね」
「高梨押すな、バカ……! んぅっ」

 窓を背にする形で押さえ付けて、短くなってる克巳さんの呼吸を整えるために、リズムをとりながら唇を重ね合う。
 ついでに、窓の外に意識が向かないよう、腰骨の辺りから内股にかけて手を這わせる。
 ぎゅっ、ときつく握った拳で俺の肩を掴む克巳さんをチラリと見ながら、俺はすっかり窓の外の絶景より、目の前の自称天使に夢中になっていた。

 

 一周45分の観覧車の半分以上、キスで潰し。
 結果克巳さんは、降りた時には酸欠気味になっていた。
 珍しく大人しい克巳さんに肩を貸しながら、ようやく陽が傾き始めた空の下、出口に向かった。

「楽しかった? 克巳さん」
「……ざけんな、高梨のくせに」

 出口ゲートを越えて、駐車場に向かう間も無口。
 機嫌損ねたか、本気で疲れたか。
 この人が、心の底から喜んで笑う事って、なんなんだろう。
 自称天使は信用してないけど、常識外れな好き嫌い激しい性格や、心開かなさは、相当根深い『何か』がある気がして、気になってしょうがない。
 暴くなって言いながら、助けろ!って泣いて懇願するような、ちぐはぐさ。


 いつか俺は、今度こそ楽しく笑い合いながら、観覧車に乗りたいよ、克巳さん。
 あのてっぺんから、克巳さんらしく下界を見下ろしてよ。
 俺もそれに、付き合うから。


------------------------

 どっちが大人かと。いう話でありつつも、鎧の塊な克巳さんの鎧を剥ぐのが、密かに楽しみでならない高梨、と思えば楽しいかなと。

 

 

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