オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「克巳さん、本当に高いとこ苦手だったの?揺れるのもダメならダメだって、先言ってよ」
「……天使は自力飛行以外は認めねぇんだよ。こんな、重い塊が、空に浮くとか、非常識だ…っ」
「はいはい。とにかく遠く見て、息吐いて」
本当に、強がりだけは一人前って言うか。
どこまでも尊大って言うか。
自分から遊園地誘っておいて、ガキ臭いから乗り物乗らないだの、高いから飲み食いしないだの、捻くれたことばっかり言うから。
ささやかな意趣返しで、上手く誘い込んで観覧車に乗せたはいいけど。
…やばいなぁ、やり過ぎた。
顔面蒼白な克巳さんに、さすがに悪いと思ってるんだけど。
本人が、テンパり過ぎて、もう耳貸してくれないんだよね。
「克巳さん」
「うるさ、馬鹿この高梨! 動くな! 呼吸止めて、石になれ!」
「俺だけ石になっても、しょうがないでしょ。はい、二人で落ち着こうね」
「高梨押すな、バカ……! んぅっ」
窓を背にする形で押さえ付けて、短くなってる克巳さんの呼吸を整えるために、リズムをとりながら唇を重ね合う。
ついでに、窓の外に意識が向かないよう、腰骨の辺りから内股にかけて手を這わせる。
ぎゅっ、ときつく握った拳で俺の肩を掴む克巳さんをチラリと見ながら、俺はすっかり窓の外の絶景より、目の前の自称天使に夢中になっていた。
一周45分の観覧車の半分以上、キスで潰し。
結果克巳さんは、降りた時には酸欠気味になっていた。
珍しく大人しい克巳さんに肩を貸しながら、ようやく陽が傾き始めた空の下、出口に向かった。
「楽しかった? 克巳さん」
「……ざけんな、高梨のくせに」
出口ゲートを越えて、駐車場に向かう間も無口。
機嫌損ねたか、本気で疲れたか。
この人が、心の底から喜んで笑う事って、なんなんだろう。
自称天使は信用してないけど、常識外れな好き嫌い激しい性格や、心開かなさは、相当根深い『何か』がある気がして、気になってしょうがない。
暴くなって言いながら、助けろ!って泣いて懇願するような、ちぐはぐさ。
いつか俺は、今度こそ楽しく笑い合いながら、観覧車に乗りたいよ、克巳さん。
あのてっぺんから、克巳さんらしく下界を見下ろしてよ。
俺もそれに、付き合うから。
------------------------
どっちが大人かと。いう話でありつつも、鎧の塊な克巳さんの鎧を剥ぐのが、密かに楽しみでならない高梨、と思えば楽しいかなと。
▽ランキング参加してます★お気に召したらポチリお願いします。
にほんブログ村
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。