オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「あ……っ、この人の指遣い……イィッ」
僕らはとある楽器屋の片隅に並ぶ、展示ピアノとエレクトーンだ。
今、高い声で鳴くピアノを、僕はただ黙ってみていた。
僕らは、主人がいなければただの置物だ。
ピアノは、その白い鍵盤と、綺麗に磨かれたボディが根強い人気なのか、いつも人間が彼を鳴かせている。
***
「淫乱」
「……はっ、君じゃぼく鳴かせてくれないもんね。羨ましい?」
閉店後の店内。
ピアノの気高さは、機械仕掛けの僕の罵りなんかじゃ折れない。
「君はいいよね、今日なんてずっと電気流されて触られてないのに鳴きっぱなし。…どっちが淫乱なんだか」
「僕は……!」
「おまけに、結構雑に触られてもイイんだよね? 僕なんかみんな、焦れったいくらい優しいし」
「……っ」
ピアノはいつも、僕を馬鹿にする。
僕たちは、最高に仲が悪い。
悪いのに。
「……いよいよ明日、出ることになったよ僕」
ピアノが、いなくなる。
主人になる人は、ピアノと僕を凄く悩んでいた。
僕もピアノも、たくさん鳴かされた。
でも、選ばれたのはピアノだったんだ。
「僕ら、一緒にはいられないね。エレクトーン」
「……せいせいしてるんだろ?」
「どうかな。いろんな声で鳴く君を、もう見れないのはちょっとつまんないかな」
「僕は……」
きみが、色々な奴にもう触られることがないことに、少しホッとしてるよ。
僕たちの幸せは、大事にしてくれる最高の主人に買われることだから。
綺麗に包まれ、彼はここから去っていった。
僕たちは、どんなに思っても繋がることは出来ないんだ。
永遠に。
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ピアノもエレクトーンも、受。
楽器屋は娼館、ピアノとエレクトーンは男娼みたいな。
ピアノ1番人気。
エレクトーンはオートプレイモードで、アンアン言いまくり。
そんなイメージでしたが、書きあげたら意外と触れたくても触れられない切ない関係になっていいました。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。