オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
日曜日、混み合うホームセンターの中で、人込みに紛れ手を繋いで歩く二人がいた。
「あとなんか必要なのあったっけ?」
「いや、取り急ぎこんなモンだろ」
すらりとした肢体を、黒一色で纏めた男と、少し長めの茶髪を前髪だけピンで留めた小柄な男。
二人の繋いだ指先には、さりげなく同じデザインの指輪が光っていた。
「あーっ、大事なの忘れてんじゃん!」
小柄な方が、黒い男の腕を引き、突然走り出した。
その先にあったのは、壁際に沢山並んだ表札サンプル。
「新居にはやっぱ、新しい表札じゃん?」
「なら、あそこのシンプルなのでいいな」
「ちょ、全然可愛くないだろあれは!」
じい様ン家みたいだ、と失礼を抜かす相手を見下ろし、男は溜息をついた。
「なら、どんなのがいいんだ」
「えー、んー、うー」
「どうせおまえも、俺の苗字になったんだ。表札なんて苗字さえわかれば用は足りる」
「…あ、そっか」
えへへ、と小柄な男は笑うと、商品を沢山乗せたカートをレジに向け歩き出した。
「なんだ、表札はもういいのか?」
「いい」
「ほう」
「あー、俺おまえの苗字になったんだ」
「同意しただろうが」
「うん、した。じゃなくて、今更当たり前にそれが、嬉しいっての? なんかすっげ、幸せ」
「馬鹿は名前が変わっても、治らないな」
「バカバカ言うなよ!俺のこと、超愛してるくせに」
「あぁ確かにな、35年ローンを賭けられる位には愛する予定だ」
「おまえのはいちいち、現実的過ぎるんだよ!」
「仕方ないだろう、――おまえを一生大事にすると神に誓ったんだ。手は抜けない」
「……ばか」
沢山の荷物を抱え、二人は一台の車に乗り込み、愛の巣へ帰って行った。
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当初1回こっきりで書いたつもりだったんで、攻・受名前がこの時ありません。
入籍よりも、表札が一つの方が、なんか同じ苗字になった実感ないですかね?という一作。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。