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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月06日 (Mon)

 傾向:ワケ有 / 雨 / もういない友人

拍手[3回]




 その日は、朝から雨だった。

「久々に、ここ来たな」
「……あぁ」

 花束を路肩に供え、二人並んで膝を折る。手を合わせ、しばらく二人で雨の中黙祷を続けた。
 いつも、二人の間にいた青年。三人で並ぶと、必ず真ん中に位置した青年。
 喧嘩ばかりの正反対の二人の仲裁役で、口癖のようにいつも言っていた。
『俺がいなきゃ、本当駄目だな』
 困った顔で、笑うのは見慣れた光景だった。――ほんの、3年前までは。

「お前は俺を、恨んでいないか」
「なんでだよ?」
「俺は、弱みに付け込んでお前を抱き関係を強要した」
「……嫌じゃなかったから、今でも続いてんだし。いんじゃね?」

 傘から落ちる滴で、湿った長めの前髪をかきあげる相手に、溜息を一つつき、立ち上る。

「わざわざ雨の中呼び出して、話ってそんなことかよ」

 静かだが、苛立ちの篭る口調に、男は小さく頭を振った。

「いや、用件は別にある」
「今日は夕方からバイト入れてんだから、早くしろよ」
「なら、単刀直入に言うが。――祐司、俺の苗字になる気はないか?」
「は?」

 濡れた髪を指先で弄っていた青年が、傘に溜まった水滴を振り払う勢いで振り返った。

「何言って……お前、婚約者いる、じゃん」
「先週、別れた」
「何してんだよ!」
「笑われそうだが、あいつが夢に出て来たんだ。――お前を、これ以上泣かすなと叱られた。久々に、あいつに叱られて決心がついた」
「だ、だって結婚式場も押さえて、俺にも招待状寄越したろが! どうすんだよ、この考えなしっ!」
「自覚している。おまけに、優柔不断だ。お前を選ぶのに、3年もかかった。だからもう、後はないんだ、祐司」
「バカだろお前! 絶対その選択、間違ってるっての! なんで俺なんだよ、俺は……ッ!」
「選択が正しいか、間違っているかは、一緒にこの先傍にいて確かめて欲しいんだ。お前に」

 小降りになった雨に、傘を畳む。未だ呆然としている祐司から傘を奪い、男は華奢な背中を思いきり抱きしめた。

「こんな俺を、見捨てず呆れず傍にいてくれるのは、お前以外考えられない」
「……そこまで、言われちゃ仕方ねーよな。面倒、見てやるよ」
「その分俺は、お前に苦労させないよう稼ぐつもりだ」
「賢……」

 祐司は俯くと、一瞬花束へ視線を向けた。

「……あいつが化けて出るくらい、目茶苦茶大事にしろよ」
「お前の願い、聞き入れた」

 答えると、誓約の証に祐司の唇へ口付けた…――


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 幸せを掴むまでの過程を考えていたら、こんな過去が出てきました。
 だからこそ、今が思いっきり幸せであればいいと思う。

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 萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。