オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「花嶋昌樹君!」
フルネームで名前を呼ばれるなんてことは、そうそう無い。なので、面倒臭いが振り向いてやる。
そこに居たのは、どっからどう見ても特徴のねぇ、もさい男だった。
人ごみん中じゃ、絶対見つけられねぇタイプ。
「何だよ」
「あ、あのあの、大好きです!」
真っ赤な顔で、奴はそれだけ言うと俺の顔をじっと見つめて来た。
「ハイハイ。……そりゃどうも」
正直、言われ慣れた台詞にいちいち反応してらんねぇ。
が、そいつは俺の一言に、頭に花咲いたんじゃねーのっつうくらいの笑顔を見せた。
……やべぇ奴か、こいつ。
「話それだけか?」
「え、……え? あの、好きと告白して、どうもと答えられた場合は、砕けてないんでしょーか?」
「あ? 日本語やり直せ、てめぇは今、『大好きです』っつー自分の想いぶつけただけだろが。だから俺は、それに『どうも』っつったまでた」
「えぇーっ、好きですって言うのが告白で、そこからお付き合いが始まるんじゃないんですか!」
「は? お前付き合いてぇの? 俺と?」
「い、一応希望としては」
目をキョロキョロ、顔色をころころ変える奴に、俺は極上の笑顔を返した。
「なら、お前これから俺と……手繋いでホテル行くか?ちょうど今、予定してた女にキャンセルされたところだ」
「へ……えと、ホテル?」
奴の予想外だったのか、ポカンと間抜け面を見せる。
男にコクられるのも、なくはねぇけど、こいつはどこを取ってもねぇ。まずねぇ。
つうのが、これで伝わったろ。つうかわかれ馬鹿。
「えーと、失礼しますっ」
が、奴には伝わらなかったようだ。俺の手に、奴の手が触れる。
おーおー、手汗すげぇな。
普通拭くだろ、まず。
「あの、行きます。ホテル」
「は?」
「花嶋君が行くなら、どこでも行きます!」
……やべぇ、こいつマジ馬鹿だ。本物だ。
俺は可笑しくなって、言葉を重ねた。
「俺が望めば、お前なんでも出来るか?」
「が、頑張ります! 出来る限りします!」
「なんでもだぜ?」
「はい!」
その無駄な心意気が、俺の嗜虐心をすげぇ擽った。
どーせこんなモン、口先だけだ。なんでもなんて、有り得ねぇ。
音を上げるまで、突き合わせてやる。
「ならいい、とっと行くぞ。あー……お前、ところで誰?」
「コウノ…えと『香』に野原の『野』で、香野です!」
俺を、大好きね。いつまでそんな阿呆な事言ってんのか、試してやるよ。
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好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。