オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
本州の一番北の県、と言えばりんごと雪で有名だ。
冬、雪が深くなれば畑は埋まり、仕事が無くなる。
働き手の男達は、出稼ぎに出る。
あいつも、そうだ。
***
「相変わらず、外一面雪だよ」
『そうか。風邪引かねぇようになぁ』
寒い廊下で、膝抱えて受話器を握る。
たまに電話の向こうから聞こえる、電車の音と駅のアナウンス。
騒がしい雑踏に、ここにあいつがいない事を強く感じる。
「……外なんだろ、早く部屋帰れよ」
『したら電話切らないとなんねだろ』
無理矢理標準語を話しているような、おかしなイントネーションにも慣れた。
だってあいつに標準語を教えたのは、おれだから。
『帰る前に一回出て来いよ』
「一丁前に、都会案内する気か?」
『悪いか』
「……まだ、おれのほうが詳しいよ」
去年まで、暮らした街。
あいつは、おれの暮らした街が見たいと、そこに出て行った。
春になるまで、あと数ヶ月。
堆く積もった雪が解けるまで、帰らない。
「なあ」
『ん?』
少し前の流行曲の歌詞が、頭の中でぐるぐると回る。
口にすれば、なんてことは無い言葉……なんだろうが。
言えずに口をつぐんだおれに、あいつは訝しげな声を出した。
見えなくてもわかる、あいつの表情。
脳裏に浮かんだ顔に背中を押されたように、おれは溜めていた言葉を吐き出した。
「都会に染まらないで、帰ってこいよ」
『お前にハンカチーフなんか、やるか。持って帰るなら、もっと違うもんだ』
珍しく強い口調で返して来たあいつに、口許が綻ぶ。
見せられないのが、本当に残念だ。
『お前も、ガキ共にべたべたさせんでねぇぞ』
「生徒とは、スキンシップが大事だからな」
『ならお前には、石鹸だ。山程買ってく』
「期待してる」
母親が、そろそろ電話を切れと言って来た。
向こうも、10円が切れて来たらしい。
「それじゃ」
『じゃあ』
僅か10分の電話が、あいつの稼ぎ一日分の何割を占めるのか。
毎日は来ない電話。
こちらからはかけられない電話。
今夜も、窓の外は音もなく雪が降っている。
幼い頃から馴染んだ雪が、憎いと思う日が来るとは思わなかった。
父や兄が出稼ぎに行った時は、こんなに帰還を切望しなかった。
「染まらないで帰って、か」
雪のように、想いが溶けないように。
そう願うしかない。
--------------------
調べたら、『木綿のハンカチーフ』は昭和51年のヒット曲だったそうで。
34年前ですね、一応ギリギリまだ生まれてなかった私(笑)
雪国、というとイメージが即東北の一番北を思い出したのは、多分新幹線開通のCMを見ていたからかもしれません。
雪国→吉●三→青森、そんな三段論法で出来あがった一作。
ちなみにお若い方は、雪国はジ●ロと言われました(笑)
そんな昭和テイストのお話です。
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萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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