オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「……本気で帰らないつもりか」
夕飯を済ませた北森家のリビングで、姉と弟はグラスを傾けていた。
祐司に息子の入浴を押し付けた亜樹は、のびのびとつまみの揚げ出し豆腐を摘んでいる。
「あいつが謝ったら、考え直すけど」
「大体、なんで拗れたんだ?いくら義兄さんだって、ホストクラブくらいで目くじらは立てないだろ?」
「えー?だから、あそこのオーナー?あんたの友達て言う人」
「友達じゃない、知人程度だ」
「なんでもいいけど。その人が、帰り家の傍まで送ってくれたの。“賢君のお姉さんに何かあったら、大変だから“って」
目に浮かぶ光景に、賢は思わず組んだ指に力が入った。
「それで?」
「サービスの一環、て。お別れの挨拶で、ほっぺにチュー。また遊びに来てって、名刺貰っただけよ。浮気でもなんでもないでしょ?」
「……状況的に擁護したくないな、それは」
逆の立場ならば、怒り狂うくせに――と、胸の内で呟く。
賢は深く息を吐き出した。
「かっわいくない、賢ちゃん!小さい頃は、素直だったのにねー」
「あれは強制的な、服従だろ」
渋面を作り言い返した賢に、亜樹は面白くなさそうに唇を尖らせた。
仲の悪い姉弟では無かったが、自我が目覚めた頃には既に、姉は逆らってはいけない存在になっていた。
2歳という差は、幼少時代には意外と大きい。
完全な刷り込みの力関係は、成長しても残念ながら変わる事が無かった。
「上がりましたー」
「ママー!」
「祐司君ありがと。りゅーう、あんたはこっち!」
浴室から半裸で駆けて来た息子に呼ばれ、亜樹はやれやれと立ち上がった。
泊まり道具までしっかり持ち込んで来た姉の様子に、やはり長期戦を覚悟しなければならないかと、賢は深いため息をついた。
***
隣で動く気配に、祐司が目を開ければ、まだ薄暗い部屋の隅に携帯電話の光が見えた。
こちらに背中を向けた賢の抑えた声が、寝ぼけた頭に聞こえて来る。
うつらうつらとしている間に、賢が布団をめくり隣に戻って来た。
「……どっから?」
「起こしたか」
「や、平気。何時?」
「まだ、6時半だ。義兄から、様子はどうかってな」
「おにーさ……?え、今日も現場?こんな時間起きてるって」
「いや。帰るかもしれないと、起きてたらしい」
あちゃー、と祐司は内心呟く。
亜樹は早々と、高鼾で床に就いたと言うのに。
自分のような、本来ならば認められない存在を、賢の姉はまず一番に認めてくれたし、両親の説得にも姉夫婦は力を貸してくれた。
多少過激ながら、遠慮なく言い合う姉夫婦の様子は、当時まだ少し距離のあった祐司には羨ましかった。
大好きで、大切な家族。
あまり家族に囲まれて過ごした記憶のない祐司としては、出来れば早く二人の不仲を解消したかった。
「今日、俺おにーさんとこ行ってくる」
「祐司」
「昼飯でも持ってさ、おまえより俺の方が話しやすいかもしんないじゃん?」
「悪いな」
溜息混じりの囁きと同時に、賢の腕に抱き込まれる。
肩に額を押し付け、温もりでまた襲って来た眠気に負けそうになりながら口を開く。
「……おねーさん達、早く、仲直りするといいな」
「ああ、おまえにも迷惑かけるな」
「いーよ、家族だし」
もう一度、頭を擦り付け、祐司は微睡みに身を任せた。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。
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