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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月04日 (Sat)

 第2弾。 傾向:俺様ドS×平凡馬鹿 / 誕生日 / おねだり

【問題】
 『可愛いおねだり』というお題でお願いします。

拍手[3回]




「ハイ! 花嶋くん! お願いがございましてソウロウ」
「……んだよ」

 今日はツイてねぇな。
 珍しくゲーセンで、大量に小銭消費した。
 あと百円しか残ってね。
 そんな帰る気満々な俺の腕を掴み、香野は困った顔で見上げてきやがった。

「あ?」
「あの、花嶋くん器用だから、アレ取るアドバイス欲しいんです」

 香野に引っ張られ、連れてかれた先には一台のUFOキャッチャー。
 そして香野は、その中の奥にある、可愛くねぇぬいぐるみを指差した。
 角度的に狙いづれぇ、面倒臭いモンを。
 不器用なクセに、高度な真似してんじゃねぇよ。

「ふざけんな、お前にはそっちのキーホルダーので十分だ。帰んぞ」
「……うん、でもあと一回だけ、ダメ?」

 いつもなら、素直に後ついてくる香野が、珍しく反抗的だ。
 この馬鹿、後で痛い目見るって学習能力ねぇのかよ。

「ちっ、一回だけだぞ」
「うん!」

 台の周りを覗き何を考えたんだか、、香野は深呼吸をして小銭を取り出した。

「あ……」
「残念だったな、金ねぇなら終了だ。行くぞ」

 五十円玉しかない掌を見つめ、香野はくしゃりと顔を歪めた。
 一重で黒目ばっかがデカイ眼に、みるみる涙が滲んでくる。
 それは初めて見る、泣き方だった。
 静かに、落ちる涙を拭って、肩を震わせる。
 さすがの俺も、かける声が出ないくらい、似合わない哀しい泣き顔だった。

「おい、香野」
「きょ、おれ、たんじょび、だったから、じぶっに、ごほーび、だったのにっ。ダメ、だね、おれっ」

 ……ちょっと待て。なんだそれ。

「お前、誕生日だったのか?」
「ん……うんっ」
「一言も言わなかったじゃねーかよ!」
「だて、はなしまく、そーいうの、ウザイって」
「っち!」

 俺は残っていた百円を出し、投入口に乱暴に突っ込んだ。

「……花嶋くん?」
「言え。一回で取って下さい、お願いしますって」
「ぅえ? あ、あの」
「早く言え!」
「い、一回で取って下さい、お願いしますっ」
「上等だ」

 特徴の無い顔が、一瞬だけ愛らしいものに見え。
 俺は視線と指先に、全神経を集中させた。



 どう見ても可愛くない、不細工なぬいぐるみを、嬉しそうに抱いて歩く。
 時たま、無性に見たくなる。
 こいつが、喜ぶ顔。
 ちっとは俺も喜ばすこと言えってんだ、馬鹿。
 ……おねだり、躾ねぇとな。


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 立場と関係が微妙なお陰で、上手くいかない。
 しかし安い誕生日プレゼントだ…香野ったら。

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