オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「……チッ」
今日何度目かわからん。
突き抜けるような激痛に刺激され、トイレに駆け込むこと……数分置き。
いい加減、踏ん張る気力も無く、苛立ち紛れに盛大に水を流して出れば、馬鹿が眼を真っ赤にしてなんかを握り締めていた。
「花嶋くんっ、やっぱり病院行こうよ! 死んじゃうよ!」
「アホかお前、ただ腹下したくらいで病院行けるか。つーかそれ、お前の保険証だろ」
「だだだ、だって」
「放っときゃ治るっつーの」
勝手に人を殺しかけている馬鹿の頭を叩き、俺はソファーに沈んだ。
ぶっちゃけ、腹痛もトイレと仲良くさせてんのも、原因はコイツだ。
香野が、昨日夕食を作った。
俺はそれを食った。……つまりは、そういう事だ。
コイツには、言わねーけど。
「花嶋くん、お薬も要らないですか」
「いらね」
なんで俺が苦しんでるのか、全然気付かない香野は、うろうろと俺の周りを動き回る。
欝陶しいがしばらく放置しとけば、唐突に香野は俺の前にしゃがみ込んだ。
膝に手をかけ、じっと潤んだ眼で俺を見上げる。
なんだ? お詫びに真昼間から俺のを咥えるつもりか?
淡い期待で見つめ返せば、香野にしては珍しく、阿呆じゃない笑顔を見せた。
……あぁ、あれだ。昔、予防注射の後看護婦が見せた、あの顔みてーだ。
安心、させる顔。
「痛いの痛いの、飛んでけ」
香野の、標準より小さい手が、ベルトの上、ヘソの辺りを撫でる。
シャツの上から、じんわり香野の体温が肌に染みてくるのが、妙に心地いい。
ゆっくりと、何回も香野はそれを繰り返した。
「花嶋くんを苦しめる、痛いの痛いの、飛んでけ!」
真剣な顔で、腹を撫でる香野に俺は呆れるのを通り越して、笑いが込み上げて来た。
本当、こいつ馬鹿。
俺を飽きさせねぇ。
「ね、花嶋くん。少しは痛いの治まった?」
「あ? あー、効いてんじゃね」
「よかったー!」
顔をクシャクシャにして笑うから、お前は可愛いくねーんだよ。単純馬鹿。
だから言えねーんだ、またトイレ行きてぇなんて。
……あーチクショ、早く治れ腹。
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花嶋が実はM気があるんじゃないかと思う件。
この辺から、俺様度が薄れ、お馬鹿度ばかりが増してきたこのシリーズ。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。