オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
翌朝のお話。なんてぴったりなお題に出会ったんだ! 傾向:主従 / 主人視点 / 書き置き / 不敵な老人
【問題】
昨夜は一緒のベッドに眠った筈なのに、朝目覚めたら何故か受がいなくなっていました。
そしてテーブルの上には
「実家にかえります」
と書いた手紙が…
攻はまったく心当たりがないのですが、受は何故いなくなったのでしょうか?
そして攻はこれからどうするでしょうか?
「馬鹿な……っ!」
テーブルに乗っていた置き手紙を握り潰し、私は慌ただしく部屋を飛び出した。
昨夜、史乃は私の気持ちを受け入れてくれたのではなかったのか!
実家など、待つ家族など既にない史乃が。
何より私の想いを、理解してくれた史乃が。
行くところなど、他にあってたまるものか!
寝間着のまま、当てもなく屋敷を駆けずり回り、史乃に与えている自室も覗く。
本当は、最初からこんな薄暗い狭い部屋を与えたくはなかった。
ただ立場上、突然現れた使用人を私の愛人の如く囲えば、以前から勤める家政婦と使用人に示しがつかない。
――いや、それ以上に私を冷ややかな目で見るに違いない。
冷たい史乃の寝床を叩き、私は悪態をつきながら部屋を後にした。
やはり、外なのか。
そう思い、玄関へ向いた私の眼に唐突に捜し人が飛び込んで来た。
食堂脇の台所。そのこじんまりとしたテーブルで、史乃と最長使用人の三井がにこやかに談笑している。
「史乃!」
「乙貴様、おはようございます」
はにかみながら、会釈する史乃には切羽詰まる様子はどこにもない。
私の前に走り寄ると、恥ずかしげに頬を染め私を見上げて来た。
「お出かけなさるんですか? その恰好で」
「いや、これは……。それよりも史乃、何故お前、朝ベッドから……」
「わーっ! 言うなーっ!」
「史乃、そんな大事をご主人様の前で出すものじゃありませんよ」
湯を呑み干しながら、三井の静かな声が割り込む。
三井は食えない爺だ、……私を幼い頃から煙に巻く妙な奴。
ゆったりと腰を上げ、史乃の肩を数度叩くと、三井は私に細い眼を向けて来た。
「お赤飯の用意を、トメさんに頼まないといけませんねぇ。ご主人様に春が来られたようで」
「……お前の仕業か」
「はて、なんのことやら。老人は朝が早いもので、少し世間様より情報が早いだけでございます」
「お二人とも、なんのお話なんですか?」
話が見えない史乃が、小首を傾げる。
その可愛い史乃の仕種に、鼻の下が伸びそうになる私に三井は忍び笑いを漏らし、台所を出て行く。
「乙貴様?」
「……お前が、死ぬ程大切だという話だ」
「大袈裟過ぎですよ、乙貴様」
笑い飛ばす史乃に、私は声に出さず反論した。
―――笑い事じゃないくらい、私を焦らせる事が出来るのはお前しかいないんだ。
覚悟しろよ。
---------------------------------------
乙貴様視点のお話でした。そして使用人の三井さん(67)登場。
史乃は、家政婦トメさんと三井さんにとても可愛がってもらています。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。