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オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。

2024年11月15日 (Fri)
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2009年07月09日 (Thu)

 翌朝のお話。なんてぴったりなお題に出会ったんだ! 傾向:主従 / 主人視点 / 書き置き / 不敵な老人

【問題】

 昨夜は一緒のベッドに眠った筈なのに、朝目覚めたら何故か受がいなくなっていました。
 そしてテーブルの上には

 「実家にかえります」

 と書いた手紙が…
 攻はまったく心当たりがないのですが、受は何故いなくなったのでしょうか?
 そして攻はこれからどうするでしょうか?

拍手[1回]



「馬鹿な……っ!」

 テーブルに乗っていた置き手紙を握り潰し、私は慌ただしく部屋を飛び出した。
 昨夜、史乃は私の気持ちを受け入れてくれたのではなかったのか!
 実家など、待つ家族など既にない史乃が。
 何より私の想いを、理解してくれた史乃が。
 行くところなど、他にあってたまるものか!

 寝間着のまま、当てもなく屋敷を駆けずり回り、史乃に与えている自室も覗く。
 本当は、最初からこんな薄暗い狭い部屋を与えたくはなかった。
 ただ立場上、突然現れた使用人を私の愛人の如く囲えば、以前から勤める家政婦と使用人に示しがつかない。
 ――いや、それ以上に私を冷ややかな目で見るに違いない。
 冷たい史乃の寝床を叩き、私は悪態をつきながら部屋を後にした。
 やはり、外なのか。
 そう思い、玄関へ向いた私の眼に唐突に捜し人が飛び込んで来た。
 食堂脇の台所。そのこじんまりとしたテーブルで、史乃と最長使用人の三井がにこやかに談笑している。

「史乃!」
「乙貴様、おはようございます」

 はにかみながら、会釈する史乃には切羽詰まる様子はどこにもない。
 私の前に走り寄ると、恥ずかしげに頬を染め私を見上げて来た。

「お出かけなさるんですか? その恰好で」
「いや、これは……。それよりも史乃、何故お前、朝ベッドから……」
「わーっ! 言うなーっ!」
「史乃、そんな大事をご主人様の前で出すものじゃありませんよ」

 湯を呑み干しながら、三井の静かな声が割り込む。
 三井は食えない爺だ、……私を幼い頃から煙に巻く妙な奴。
 ゆったりと腰を上げ、史乃の肩を数度叩くと、三井は私に細い眼を向けて来た。

「お赤飯の用意を、トメさんに頼まないといけませんねぇ。ご主人様に春が来られたようで」
「……お前の仕業か」
「はて、なんのことやら。老人は朝が早いもので、少し世間様より情報が早いだけでございます」
「お二人とも、なんのお話なんですか?」

話が見えない史乃が、小首を傾げる。
その可愛い史乃の仕種に、鼻の下が伸びそうになる私に三井は忍び笑いを漏らし、台所を出て行く。

「乙貴様?」
「……お前が、死ぬ程大切だという話だ」
「大袈裟過ぎですよ、乙貴様」

 笑い飛ばす史乃に、私は声に出さず反論した。

 ―――笑い事じゃないくらい、私を焦らせる事が出来るのはお前しかいないんだ。
 覚悟しろよ。



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 乙貴様視点のお話でした。そして使用人の三井さん(67)登場。
 史乃は、家政婦トメさんと三井さんにとても可愛がってもらています。
 

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