オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
遠く響く、打ち上げ花火の音が聞こえる。
起き上がり、窓から見えた空は、ほのかに光っていた。
「始まったな」
「……見たかったです」
隣で横になって、枕に肘を立ててる乙貴様を、意地でも振り向かない。
今夜は、市内の河川敷で大きな花火大会が行われてる。
本当は僕も、三井さんとトメさんと一緒に花火を見に行く事になっていた。
昼までは。
「史乃が私を仲間外れにするからだ」
「人込みが嫌いで、花火大会なんか興味ないって言ったの誰ですか」
「それは事実だが、史乃がどうしてもと懇願すれば考えてやったのに」
「嫌々行く人となんか、一緒に見たくないです」
出かける準備をしていたところを捕まえられ、ベッドに引きずり込まれて問答無用。
……絶対、許してやらない。
「史乃」
後ろから回された腕を、邪険に振り払う。
僕の楽しみ奪った人なんか、知ったことか!
「……花火なら、家にもあるんだが」
「手持ちなんか、嫌です」
「史乃。悪かった」
抱きしめてくる腕が、何度も諦めずに絡まって、僕は諦めて振り向いた。
「……花火するから、起きる」
「浴衣を着て、庭先で」
「三井さん達も一緒?」
「史乃……お前の中で、私の位置はジジババよりも低い気がするのは、気のせいか?」
「だって! 乙貴様は僕を困らせて、悪戯ばっかりするじゃないですか! 三井さんは優しく仕事教えてくれるし、トメさんは美味しいご飯を作ってくれるし!」
もう、子供みたいな我が儘言うし。すぐワケのわからない、無茶を言うし。
それで僕の楽しみ取り上げるとか、本当もっと大人になってほしいよ。
て、言うと今度は拗ねるから、面倒臭いんだよな。この人。
「はい、この話終わり!早くお湯浴びて花火しましょう!」
「ああ……」
「本気でへこまないで下さい! もう、乙貴様は乙貴様で、僕の特別なんでしょ?」
もう、なんだかなぁ。
どっちが大人か、わからないよ。
その夜は、屋敷の庭先でみんな揃って花火を楽しんだ。
来年は絶対、花火大会に連れてってくれるっていう、乙貴様の約束も取付たし。
僕の未来は、安泰かな。
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ご主人様型なし、みたいな。ヘタレな攻が大好きです。
惚れた弱みって奴でしね。
好きな系統は、
【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。