オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「はい、冷たい麦茶です」
「おぉーサンキュー!」
子犬のような丸い瞳と、人懐こい笑顔。
北東工業高校野球部マネージャーである松井日夏は、部内アイドルだ。
献身的で健気なマネージャーぶりに、部員は士気を高め、練習に励む。
それはこの、連休中の合宿でも変わらなかった。
いや、変わらないハズだった。
「ヒナ」
「は、はいっ」
日夏は呼びかけられた声に、飛び上がる勢いで振り返った。
「……ばーか、ビクビクすんなよ。バレんだろ?」
「あ、ごめんなさい」
近づいて来たのは、この北工のエースである二年・東海林だ。
整った顔立ちに、豪椀で肝の座った性格で、部員だけでなく観客も呼び込む男。
そのエースが、怯え気味の日夏の肩を鷲掴んだ。
「たく、いい迷惑だぜ。お前みたいなカマくせぇ奴のせいで、禁欲だけじゃなくホモの真似事までしろってな」
「……ごめんなさい」
日夏の、色白で華奢な体格と儚げな雰囲気は、狼の群れに迷い込んだ兎なようなものだった。
そこでキャプテン達三年有志が考えたのが、擬装恋人作成だった。
「エースのモノと知れば、不埒な輩も減って、不祥事も回避出来る!」
そう自信満々に提案したキャプテンを、東海林はバッドで殴り倒したかった。
――なんで俺が。
男とデキなきゃなんねぇんだ。
「風呂、飯の片付け済んだなら行くぞ」
「はい」
風呂に一緒に入り、布団も特別他の部員と離れ二人で一つに寝る。
とんでもねぇ、と思う東海林とは逆に、日夏は怯えながらも大人しく従っていた。
「ヒナは、まじでホモ?」
「え、えぇ? 違いますっ」
「こんな事されて、普通ヤじゃねーの?」
シンクに押さえつけられ、日夏は驚いて東海林を見上げた。
「キスもしたし、……こっちも」
「……ンッ」
「平気なのって、やっぱホモか? おまえ」
「違っ、…やっ!」
足の付け根を撫でる指先に、弱々しい抵抗を見せ、日夏は東海林の腕にしがみついた。
「……本当は、僕だって、こんなのヤです」
「へぇ」
「でも……先輩が、したいならいいです」
「は?」
涙目で見上げて来た日夏に、東海林は悪戯していた指を止めた。
「俺は別に……」
「うん、嫌ならいいです。合宿終わったら、ちゃんと離れますから」
「はっ、俺は今すぐ終わらせてぇよ」
「……ごめんなさい」
***
「マジ嫁だよな、アレ」
「夜も奉仕させてるらしいぜ」
「あいつ、男のマネージャー興味ねぇって言ってたクセにな」
グラウンドの片隅で、肩寄せ合いじゃれあう二人に、羨望と嫉妬の視線が注がれる。
エース・東海林に寄り添い、甲斐がいしい世話を焼くのは、部内アイドルの松井日夏だ。
不可侵アイドルを独占する、手の早い男に、大半が既に日夏が喰われた事を想像し、諦めに駆られていた。
「あいつら、お前のこんな姿想像して毎晩シコシコしてんだから馬鹿だよな」
「んぅっ」
日夏が自身をしゃぶる様を、東海林は眼を細め見下ろした。
唾液と東海林の先走りで、ふっくらとした小振りの唇が暗闇でも微かに輝く。
他の部員達から離れ、バリケードの壁に囲まれた一角が、東海林と日夏の寝床だった。
周囲から聞こえる囁き声は、二人の様子を想像して燃え上がる内容ばかりで、日夏は出来れば耳を塞ぎたかった。
東海林はそんな日夏を、面白そうに見下ろす。
「声、聞かせてやるか?」
「ンンーッ、はっ、ダメッ」
悪戯に日夏の背中を撫でていた指先が、双丘のすぼまりに触れた。
嫌がる日夏に構わず、濡らしもしない指先を蕾に埋める。
「クゥッ…うっ、フグッ」
日夏は奉仕を止め、自分の掌で口を覆う。
首を横に振り、東海林を見上げるが、相手は更に責めを強くした。
「ヤらしいな、ヒナ。腰揺れて来た」
「んーっ、んっんっ」
声を殺し、苦しげに眉を寄せる日夏に、東海林は口角を上げて笑う。
昼間、健気に部員達に尽くし、働く日夏の態度が、最近東海林は面白くない。
マネージャーとしては間違っていないが、偽装であれ恋人でありエースの自分をもっと優遇しろと思う。
だからつい、夜になると意地悪を仕掛けたくなるのだ。
間違いなく、日夏を独占していることを確かめたくて。
「ヒナ、もう手外せ」
「……やっ、声……ッ」
「誰があいつらに聞かせるかよ」
空いた片手で日夏の腰を抱き、東海林は身を屈め日夏の口を自分の唇で塞いだ。
日夏の手を、奉仕途中の自身に沿える。
身体の弱い日夏に、無理強いは出来ない。
翌日の練習に支障が出るからだ。
(……足りない)
別に日夏を好きではない、そう思うのに。
全てを手に入れる事が出来ない、今の関係が面白くないと、東海林は思っていた。
⇒続きます
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。