オリジナルBL小説置場。 ご理解のない方はUターンを。 萌え≠エロ持論で作品展開中。 短編中心、暇つぶしに読めるお話ばかりです。
「センパイって、本当バカだよねぇ」
「こんな時間に、こんな場所でオッサンとチチクリ合ってたオメェは賢いのかよ」
深夜の人気のない、公園のトイレ。
出くわすのは、不良か幽霊かと言われるここで、二人は偶然顔を合わせた。
地元で名を馳せている、泣く子も黙る不良――ひとつ上の、先輩。
片や学校代表も努める、優秀生徒――ひとつ下の、後輩。
真逆な立場の二人を繋ぐ、かすかな絆は家が隣同士であることだけだった。
一歳の年齢差は、意外にも大きく関係を薄め、その距離を遠ざけていた。
「何やってんだよ、おまえ」
ドスの効いた声も、薄笑いでかわし後輩は肩を竦めた。
「お小遣欲しかったから、かな?」
「いつもンなことしてんのか、おめぇは」
「まさか。いつもは綺麗なお姉様、でもお金くれる相手に大して興味ないし。誰だって同じだよ」
小綺麗な顔から紡がれる、冷めた言葉に、先輩は一つ舌打ちを零した。
自分達の父親を越える年齢の男に、身体をまさぐられている姿を見つけたのは、本当に偶然だった。
咄嗟に男に殴りかかり、トイレから叩き出したが、どうもそれは後輩の意に沿わなかったらしい。
「あーあ、今日は完全にヤラれ損なんだけど。先輩、代わりにお金払ってくれる?」
「ふざけんな、帰って風呂入って寝ろ!」
「こんな状態で、一人寝なんて無理なんですけど? 僕」
するりと身を寄せて来た後輩は、熱を持つ下半身をさりげなく先輩の手へ、擦りつけた。
「先輩」
首に腕を絡め、切なげな声で呼びかける。
「生憎オレは、金がねぇんだ。他当たれ」
「……だったら、後払いでもいいから」
しがみつく身体が、微かに震えていることに気付いたが、それを指摘する気にはならない。
この大嘘つきのバカを、どうしてやろうか。
どう見ても同意なら、誰が最初から殴りに入るか。
あんなに、助けを求める顔をしておいて、この態度だ。
「オレがその気になると思ってんのか?」
「……先輩こそ、僕が本気で誘うと思ってんの?」
伏せた顔のまま、後輩は腕を解くと身体を離し、そのまま背を向ける。
「じゃ、おやす……」
歩き出した肩を掴み、その身体を強引に個室の壁に押し付けた。
有無を言わせず、そのまま唇を奪う。
「ちょ、何っ」
「おまえそういや、昔っから一人で寝られなかったよな」
「っ!」
「帰るぜ、こんなトコでやりたくねーだろ?」
「え? ……本当に、する気?」
「さぁな」
不敵な笑みを返す相手に、後輩は少しだけ表情を緩め、笑みを零した。
その人にしては、意外すぎるほど丁寧な扱いで、ベッドに横たえてくれた。
シャワーを浴びた滴が残る素肌を合わせ、相手に身を擦り寄せる。
少しでも、劣情を催して貰えるように、視線や表情を作る後輩に気づいたのか、男は苦笑を浮かべた。
「安心しろよ、充分やる気にはなってる」
「……男と、したことあったの? 先輩」
「ねぇよ、けど結構興奮するもんだな。悪くねぇよ」
優しさと強さを滲ませる瞳を見上げ、後輩は自然に首に腕を絡めた。
この現実が、朝になっても続いていればいい。
無理な願いを胸に抱き、二人は互いに次第に夢中になっていったのだった。
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…難しかったです。どちらかというと、後輩→先輩な関係。
少しずつ道が分かれていって、多分そう遠くない未来完全に道を違うんだろうなと思って書きました。
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【俺様×健気】【ヘタレ×女王様】
萌え≠エロが持論です。でも、本番≠エロだし、下ネタはOKなんで、オカズになるようなエロは書けないということだけご了承ください。